スペースマーケットにはスペース以外のものが実はものすごく多い

スペースマーケットに2018年2月に入社してから今月、会社としては6年目に突入するタイミングになる。これまで約10ヶ月の間で色んな人の話を聞き、たくさんの出来事や現象を見てきて、すごく大きな3つの事に気づいた。

気づいた事1:日本にはモノが多すぎる

忘れもしない2015年、SAPのカンファレンスで聞いた一橋大学の米倉先生の話しを思い出す。

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この基調講演で日本のモノづくりについてこんな話題がでた:

例えば数年前までは良くマスコミの間で「車、ビール、テレビ・・・、若者のナントカ離れ」が取り上げられ、なんでだろうねーみたいな話がネタになりまくっていた。
そこで良く出てきた解決策として、需要(コレが欲しい!)が無くなってきたのでさらに新しい若者向けの車を作ろう!若い人が飲みたくなるビールを開発しましょう!みたいな発想がたくさんあった。

もう日本にはものが多すぎるし「需要」がないんだから「供給」も必要ないでしょ、というトークだった。
世の中に溢れているものはすぐ手に入るので価格が安くなっていく。
そしてより多くの人が簡単に買えるようになる。
結果クリスマスケーキが大量破棄される。

とにかくモノが多すぎる!だから周りにあるモノを面白く活用する発想が必要なんだろうな。東京とかだと絶対そうだ。そう思いながら数年がたって今に至る。

気づいた事2:だんだんシェアリングの感覚が世の中に広まってきた

10年前と比べるとインターネットが100倍ぐらい速くなり、情報のやりとりが簡単になった。モノが増えた世の中だからこそ、新品である事の価値が減り、メルカリなどのオンラインでのフリマ文化が発達してきた。カーシェアも広まり20年後にはマイカー保有者が2割程度になるという調査もある。シェアリングの定義にもよるけど、モノを買うだけでなくシェアする感覚が急速に広まってきているのは確かだ。

その中でもスペースマーケットは場所を1時間単位で借りる事ができるプラットフォーム。他の服や車などのシェアリングサービスと違い共有しているモノの使われ方がたくさんあるので、それだけ提供者であるホストはサービス品質の向上に手間がかかるし、ゲスト側にも決して簡単なサービスではないと思っている。

例えば「アプリで呼んだタクシーに乗る」だったり「出品されている本を購入する」という体験と比べ、工夫や事前準備が必要になる。利用する上でいろんなルールや制約があるし、ゲストとホストのコミュニケーションがすごく大切になる


これは大学時代のゼミの根来先生の著書。シェアリングというよりはプラットフォームについて。非常に面白い。

気づいた事3:スペースマーケットは実は日本最大の「体験作り人口」を抱えるプラットフォーム

シェアリングサービスの中でも特にスペースマーケットがユニークなのは、使う時にめんどくさいイベントを開催しないといけないこところ。お金を出せばすぐ体験できるコンテンツが揃っているわけではない。

どれぐらいめんどくさいかと言うと、ゲスト(スペースを予約して使ってくれるユーザーという意味)は会を企画し、人を集め、必要な備品を揃え、スペースを探して予約し、スペースを使う時のルールをホスト(スペースオーナー)から聞いて参加者に伝え、スペースを綺麗に使ったあとは片付けをして、電気ガス戸締りを確認して退出する。

お金で全てを解決したがる人にはありえないサービスかもしれない。

でも毎月社内では文字通り右肩上がりの実績グラフが発表され、
TVCMを打つぐらい成長しているサービスを展開している。

それだけレンタルスペースを使ってイベントを開催してくれるエネルギー量の高いゲストの存在がある。

ホームパーティ、女子会、ロケ撮影、コスプレ撮影会、ヨガクラス、企業研修、パーソナルトレーニング、お料理教室、英会話教室、挙げたらきりがない。

そしてこれらの体験は全てゲストが自ら考え、10,000件以上の利用できるスペースの中からベストな選択をして生み出してくれている。普通に改めて考えるとすごい事な気がする。もっと言うとこれは細かい調整が得意で、暗黙の了解が通用する国民性があるからこそできている気もする。

個人的に思うのは、

クリエイティブな写真を撮ってインスタに投稿する時代から
だんだんインスタStoriesやTiktokに動画を上げる事が普通になり、
近い将来は360度映像・VRがくると思ったけど来なさそうだから、笑
アナログ的にいろんな空間を生み出す事が面白い!という世界がくると良いなと思っている。