「お客様のために」を徹底的にやめる美学みたいなものが必要。

この前、一橋大学の米倉誠一郎先生が面白い事を言っていた。今の日本は供給不足なんじゃないかと。

オレらが若い頃はランボルギーニが欲しい!とかそういう事を言っていた、と。ところが今の若い世代はモノを欲しがらないと言われている。なぜか。世の中の需要と共有はそれぞれの曲線で交わる均衡点を定めるが、そのバランスが崩れているのは需要がないからではなく、供給不足なんじゃないかと。別に今の時代買いたいと思うモノはだいたい買える人が多いだけで、欲しくなるような凄いプロダクトがないだけなんじゃないかと。オレの記憶が正しければそんな様な話をしていた。

 

そこでとある話題をイタリアンのシェフの友達と話した時に、何かヒントを見つけた気がした。

例えばレストランで今日のオススメメニューとしてポルチーニトロフィエと、サルシッチャのアラビアータパスタがあったとする。日本のレストランだったら二つを組み合わせたポルチーニのパスタを作ってくれと言えばNOと言う店はそうそうないだろうと。イタリアだったら客からのその要望は受け入れないとの事だった。自分も小学校低学年ぐらいの頃に家族旅行でイタリアの確かフィレンツェかどこかのレストランで、父親がパスタにかけるためにタバスコを頼んだ時に、シェフからそのまま食べてくれと言われていたのを今でも覚えている。

日本では私は信念を込めてコレをつくっています。コレが完成形で完璧なので、欲しかったら是非買ってください。が言えないビジネスが多すぎるからつまらない気がしている。

日本市場は「お客様が神様スパイラル」で成り立っているため、関わる全ての人がお互いの労力を無駄に消費し合っている。

そんな気がしてきた。

尖った作り手がいないから米倉先生の言う供給が生まれないんじゃないかなと。

どうにか改善できないかな。

 

別の例で言うと、一昨年スリランカのオープンテラスのクラブバーでDJをやっていた時に、ハウスやジャズをベースにした選曲で客が入ってきたぐらいの時間のフロアの立ち上がりを作っていた。その時客として食事をしに来ていた観光客からMichael Jacksonを流してくれだとか、Aviciiかけて、みたいなリクエストをもらっていた時の事。そのレストランのオーナーが “Don’t listen to requests or your theme will get fucked up(客からのリクエストは無視しろ、じゃないとお前のDJの世界観が崩壊するぞ)” と言われてその店が凄く気に入ったのを思い出した。

1397289_10151752865865488_1498516201_oこの白髪のおじいさんがオーナー

唯一の日本人でフェラーリのデザイナーとして有名な奥山Kenさんも車をデザインする過程で似たような思想を持っている。というかフェラーリの売り方が他の高級車と違って、乱暴に言えば買いたければ買えば?スタンス。日本人がもっと取り入れても良い考え方な気がする。自分たちのつくるものに絶対的な哲学と信念をもっているメーカー。

 

少なくともオレはそういう将来ビジョンがあって金儲け以外の価値があるものに携わっていきたいし、モノを売るにしてもDJをするにしても、根本的なかっこよさをしっかりと見極めていきたい。

社会人歴数年も経ってやっとそんな事が自分の中で腑に落ちてきた。

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