全国の社畜向け「時間を忘れて仕事をしたくなる」ためのヒント

「ドボルザークの新世界をLPで聴いた時は音が本当に良くて感動しただ。それまではSP(蓄音機)で音がシャーシャーうるせーもんで。」

色黒でシワくちゃな顔をして目を光らせていた。曲がった事が嫌いな真面目なじーちゃんの事だから直球本音ストレートなんだと思う。高度経済成長期真っ只中の製造業界で、賄賂を打診してくる数々の取引先を真っ先に切ってきたような男だ。そこらへんの「GWちょー充実しててマジ感動w」とは伝わり方の次元が違う。

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初めてLPレコード(なければオレらDJはこの世に存在していない)が出てきた時代は、他にも新しいものがたくさん出てきていて、軍需がなくなり新しいニーズが世の中に転がっていた時代。良い意味で仕事が無い状態から始まり、あらゆる海外の技術などを取り入れて研究開発しまくっていたらしい。

この新しい技術が出てくる、時間を忘れて熱中して試作品をつくる、超過需要で買い手がたくさんいる、という状況がイノベーションを生んできたんだと改めて感じた。今の日本の会社制度では労働基準法だとかブラック企業として叩かれるなどで、社員が公私混同して何かに打ち込むなんてことは稀にしか起こらない。

そして何が一番良かったかというと、会社の誰もが何をすれば良いかわからなかった事だったらしい。戦後でもう武器を作っても全く売れないし、何を作って誰に売ろうか、技術だけはある、みたいなプロジェクトXみたいな状態。なので会社としてどうするか、自分は何をすべきか、を猛烈に勉強しながら考えたのが結果的に仕事に打ち込めたとの事。人生かけてるかどうかってのがポイントなのかな。結局自分の事社畜とか言ってる人達にはヒントにならないかも。

というかこれだけ世代と教養と文化の違うオレみたいな人間に良くわかりやすく伝えられると思った。プレゼン力が高い。調子が乗ってくると一人二役演じながら落語家さながらのトークを展開する。

戦後に知り合いのつてを使って実家に特別に大量の食料を持ち帰った話、クライアントとの納品物の品質交渉バトル、24時間検査立会いで大手の社員5人を相手に負かした話など。大企業をディスりながらとにかく自分の新人時代から定年後までのエピソードを喋り倒す。たぶん明石家さんまと同じ種族なんだと思う。朝昼晩食べた後2時間ぐらいは喋りっぱなしで毎回違うテーマでネタが尽きないのがすごい。もういろんな話を聞きすぎてボイスレコーダーで録っておけば良かったと思うぐらい、かなりの良かったぽい話をもう忘れた。

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