クラブでの「のれん」価値
日経の一面に最近、というか高校のころから気になってた事が記事にのっていた。
アメリカのアーリー・ホックシールドの研究により認識された感情労働。肉体労働、頭脳労働と並び現代で注目されている。モノのあふれる時代、商品の差別化が難しくなってきたため販売方法にも工夫が必要だ。日本では「お客様が神様」の国なので、接客は必ずしもサービス業や医療現場等に限る話ではない。というか日本にいたらどこでも消費者が優位に立つのが当たりまえかもしれない。アメリカでも最近接客が見直されているらしく、形のない価値に投資するという意識が強まってきているのかな。
会計の世界ではいろいろな無形の価値に値段をつけている。企業価値を判断する際に有価証券報告書のなかでも「のれん」が重要視される。「のれん」には知的財産権、ブランド、経営の質、ノウハウや人材の質が含まれる。「のれん」は企業の時価総額(会社の値段)の大部分を占める場合が多い。だから会社のロゴなんかを有名デザイナーに依頼するのはそのためだ。広告戦略合戦が激しいのもそのためだと思う。どれも自分の企業のブランドイメージを高め、ゆえに株価を高める戦略だ。もちろん消費者とのコミュニケーション一つも株価に影響してくる。このような意味も込めて今では感情労働が注目されているのかもしれない。終身雇用制で、株の持ち合いにより経営方針の大胆な転換があまり見込めない日本の大企業が消費者に信用「されてきた」のはそのためかもしれない。つまり消費者を裏切るような行為は一気に時価総額を下げる。
クラブも何かしら事件が起きると「怖い」「危ない」のマイナスイメージが付き、客が一気に減る。逆に外タレが出たり、日本でも5本指に入るDJがレギュラーをもったりしているクラブは安定した集客力をもつ。クラブイベントのように毎日同じ営業で客を動員しない事業は、少ない営業が作り出すいわば「のれん」価値が大事になってくる。消費者の立場として、初めて行ったイベントがつまらないと次回から友人が出演しない限りおそらく足を運ぶことはないだろう。一つのクラブ(箱)はいくつものイベントをそれぞれオーガナイザーが担当して営業するが、イベント単位の評価がクラブ存続に響く気がする。
頭がいいオーガナイザーのイベントほど盛り上がり、リハーサルから閉店までスタッフのサポートがしっかりしていて、客へ「魅せる」事がわかっているアーティストが出演するイベントが成長していく。頭脳労働、肉体労働、感情労働は質のいい遊びにも意識して取り入れていくべきだと思った。